「もう一度、あの場所へ」を支えるために
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かつて仕事で携わった思い出の場所を、もう一度訪れたい。そんな利用者様の願いに向き合い、外出に伴うリスクや安全面を多職種で検討するNewGate訪問看護ステーションの大阪エリアでの取り組みを今回のブログではご紹介します。
「もう一度、行ってみたい場所がある」
皆さんには、もう一度訪れてみたい場所がありますか?
家族と出かけた思い出の場所。
若い頃によく通っていた場所。
仕事を通して、長い時間を過ごした場所。
その場所には、当時の出来事や人とのつながり、自分自身が歩んできた人生の記憶が残っているかもしれません。
今回、大阪エリアのスタッフ間で、一人の利用者様の外出について相談がありました。
その方には、かつて仕事で携わった思い出の場所を、もう一度訪れたいという強い希望があります。
しかし、現在は心臓に関する持病や歩行時の疲労などがあり、外出には慎重な判断が必要な状況です。
「行きたい」という思いを大切にしたい。
一方で、体調の変化や移動中のリスクも考えなければなりません。
その両方に向き合うことから、今回の支援に向けた検討が始まりました。
思い出の場所には、その人の人生がある
訪問看護では、利用者様の身体状態や日常生活動作を評価し、必要な医療やリハビリテーションを提供します。
歩行がどの程度できるのか。
どのくらいの活動で疲労が生じるのか。
血圧や呼吸状態に変化はないか。
こうした確認は、安全な生活を支えるために欠かせません。
しかし、身体機能だけを見ていては、その人が本当に望んでいることまで理解できない場合があります。
今回の利用者様にとって、訪れたい場所は単なる外出先ではありません。
かつて自分が仕事で関わり、長い年月を経た今も心に残っている場所です。
もう一度その場所を見たいという思いには、これまでの人生や仕事への誇り、懐かしさなど、さまざまな気持ちが込められているのかもしれません。
私たちは、そうした背景にも目を向けながら、支援を考えていきたいと思っています。
「行けるかどうか」だけでなく、「どう過ごしたいか」を考える
今回の外出に向けて、スタッフ間ではさまざまな意見が交わされています。
例えば、目的地までの移動距離や階段の有無、車椅子で通行できる場所、休憩できる場所など、現地の環境を事前に確認すること。
また、天候や気温、外出する時間帯にも配慮し、できるだけ身体への負担を抑えられる方法を考えています。
その中で、ある看護師からこんな提案がありました。
「ご本人が一番見たい場所を事前に確認し、優先順位を決めておくと、体力的な負担を減らしながら、満足のいく外出につながるのではないでしょうか」
とても大切な視点だと感じます。
外出できたとしても、移動だけで疲れてしまい、本当に見たかった場所までたどり着けなければ、ご本人の願いを十分に叶えられたとはいえないかもしれません。
だからこそ、単に目的地へ行くことだけを考えるのではなく、「その場所で、何を見たいのか」「どんな時間を過ごしたいのか」まで確認することが大切です。
必要に応じて車椅子を活用し、歩行する場面を限定するなど、体力を温存する工夫も検討しています。
限られた時間や体力の中でも、その人にとって意味のある時間を過ごせるように。
そんな思いを共有しながら、外出に向けた準備を進めています。
万が一のときに、迷わず行動できるように
外出に向けた準備では、移動方法だけでなく、体調が変化した場合の対応も重要になります。
今回の検討では、心臓への負担を考慮し、緊張や興奮、寒暖差などによる体調変化にも注意が必要ではないかという意見が出ています。
また、体調が悪くなった場合に、どのような姿勢で休むと負担が少ないのかなど、具体的な対応についても話し合っています。
さらに、胸の痛みや強い息切れ、意識の変化など、注意すべき症状についても確認しています。
大切なのは、何かが起きたときに初めて対応を考えるのではなく、事前に想定できるリスクを共有しておくことです。
今回の外出に向けては、スタッフが現地の環境や緊急時の対応などを整理したパンフレットも準備しています。

こうした専門的な視点をスタッフ間で共有し、ご家族にもわかりやすい形で伝えることが、安心して外出を検討するための準備につながります
もちろん、準備をすればすべてのリスクをなくせるわけではありません。
そのため、主治医の判断を踏まえ、当日の体調や状況によっては、外出を見合わせることも必要になります。
希望を大切にすることと、安全を守ること。
どちらか一方ではなく、その両方を考えながら、無理のない方法を検討していきます。
ご家族も安心して判断できる準備を
今回の外出は、ご家族の車での移動が検討されています。
そのため、利用者様ご本人だけでなく、一緒に外出されるご家族が安心して行動できることも大切です。
どこで休憩できるのか。
どのような症状があれば活動を中止するのか。
緊急時には、どのように対応するのか。
こうした情報を事前に整理しておくことで、ご家族が判断する際の助けになります。
また、パンフレットを作成する際には、情報の正確さだけでなく、読みやすさや使いやすさも重要です。
必要な情報がすぐに見つかるか。
実際の外出場面を想像しながら確認できるか。
ご本人やご家族が迷わず行動できる内容になっているか。
今回も、作成したパンフレットに対してスタッフから意見が寄せられ、よりわかりやすい資料となるよう検討を進めています。
専門職がその場にいない時間にも、ご本人とご家族が必要な情報を確認できるようにすること。
それも、在宅生活を支える訪問看護の大切な役割の一つです。
「できること」の先にある、やりたいこと
リハビリテーションでは、歩行能力や筋力、持久力など、身体機能の維持・改善に目を向ける機会が多くあります。
しかし、その先には、一人ひとりの「やりたいこと」があります。
家族と外出したい。
好きだった場所に行きたい。
昔の思い出に触れたい。
身体機能を維持することは、それ自体が目的になる場合もありますが、その人が望む生活を実現するための手段にもなります。
だからこそ、私たちは「何ができるか」という評価だけでなく、「何のためにできるようになりたいのか」という視点も大切にしています。
今回の外出が実現するかどうかは、今後の医師の判断やご本人の体調によって決まります。
それでも、利用者様の希望をきっかけに、医療的なリスクや生活環境を確認し、実現できる方法を考えることには意味があります。
その人の願いに、専門職として向き合う
訪問看護は、病気や障がいのある方が、安全に生活できるよう支援する仕事です。
同時に、その人が大切にしてきたことや、これから叶えたいことにも目を向ける仕事だと考えています。
「もう一度、あの場所へ行きたい」
その一言の背景にある思いを受け止め、医療的な判断や専門職としての知識を生かしながら、できることを考えていく。
たとえすべての希望を実現できるわけではなくても、その願いに真剣に向き合うことを大切にしたいと思います。
その人が歩んできた人生も、これから過ごす時間も、大切にしたい。
NewGate訪問看護ステーションは、一人ひとりの思いに寄り添いながら、安心して自分らしく暮らせる毎日を支えていきます。
